英会話 楽して上達できる?
2025.09.30
目次 ー
「勉強は嫌いだけど英語を話せたらカッコいい。何か楽に話せる方法はないだろうか・・・」と思ったことがある方も多いと思います。特に学生時代に英語で苦労してしまった方や、英語に苦手意識が芽生えてしまった方は、「楽してペラペラになる方法があるならそちらを選びたい」と思うのは自然なことです。「自分はもう1日3時間勉強している!」「英語学習は大好きで全然苦ではない」という方は、ぜひ学習やレッスンの効率化の記事をお読みください。英語学習が大変で楽をしたい方に向けて今回の記事を執筆しました。
いかにも簡単に英語が習得できそうな広告なども見かけます。果たして楽して英語を習得する方法はあるのかどうか、今回の記事でお伝えいたします。
どう「楽」したいのか
「楽して英語を学べたら・・・」と思う時の「楽」とはどのような楽でしょうか?時間がかからないという意味でしょうか?もしくは取り組むのが楽ということでしょうか?
以下の2つで見ていきましょう。
時短の「楽」はできる?
皆さんの思う「楽」が「時間がかからないこと」という解釈の場合、それは少し難しいかもしれません。なぜなら英語の上達はある程度費やした時間に比例してしまうからです。英語が流暢になるまでは、正しい学習法の実践で一般的には約3000時間必要とされています。学校や受験勉強で1000時間程度をすでに達成していたとしても、残り約2000時間を自分で捻出する必要があります。結局時間がかかってしまうという事実を踏まえると、時短で英会話を流暢にしようという姿勢では上達は難しいです。
英語は暗記すれば何とかなると感じてしまうのは、恐らく学生時代のテスト一夜漬けが意外とうまくいってしまった経験などがあるからかもしれません。しかし会話となるとそうはいかず、習得には楽器の演奏に近いトレーニングが必要です。ギターを触ったことがある方は多いかもしれませんが、実際に弾くとなると難しいですし、ましてや3カ月でステージに立って人前で披露することは困難であるということは想像に難くないと思います。英語のスピーキング力も同じで、毎日コツコツ練習時間を積み重ねて自信をつけていく必要があるのです。
負荷の少ない「楽」はできる?
「どうしても時間がかかってしまうのなら、負担の少ない勉強がいい」と感じる方もいるかもしれません。結論から申し上げると、毎日コツコツ取り組むという条件付きであれば負荷の少ないトレーニングでも上達はしていきます。ただし、上達の速度は遅くなります。さらに、苦手なことや負荷のかかることを避け続けることにより学習に偏りが出てしまう可能性もあります。先ほどの3000時間で目標を達成するには4技能(Listening, Reading, Writing, Speaking)のトレーニングをバランスよく行なわないといけません。しかし「スピーキングが怖いから」と言っていつまでも会話練習をしないままではスピーキング力はつきません。やはり全く負荷のないトレーニングでは英語力の維持はできても上達は難しくなります。これは筋力アップのために筋トレに負荷をかけていくのととてもよく似ています。
「楽」しようとすると上達は難しくなります。「楽をする」と考えるより「楽しむ」ことを考えることで効果的に学習に取り組むことができ、よい結果に繋がります。
ストレス少なく学習するために
学習を楽しむためには自分に合った学習法と実践のペース配分が重要です。楽にできることばかり実践しても上達はしないですし、逆に苦手なことばかり自分に課してもモチベーションが続かなくなる危険があります。学習を始める前に、程よい負荷をかけつつ快適に学習できる環境づくりを第一にしていくとよいでしょう。
無理のないゴールを立てる
ダイエットのカロリー制限を毎日頑張るように、英会話学習もゴールを立てることが継続する上では大切です。しかし、無理なゴール設定は学習を続けるのが億劫になってしまう原因にもなります。仕事が忙しくなったり、生活状況が変わったりすることも踏まえたうえで、継続可能な範囲の目標を設定することが長続きの秘訣です。英語もダイエットや筋トレと同じで、持続できて初めて力になっていきます。例え1週間本気で頑張っても、その後長い休みに入ってしまうと学習内容は忘れてしまいます。1日15分でもよいので、毎日何かする習慣をつけていきましょう。一度習慣になって「一日英語に全く触れないのはありえない!」という気持ちになったら、ストレスなく継続できるようになった証拠です。
無理のないカリキュラムを作る
カリキュラムも目標設定と同じように負荷が大きすぎないものを選ぶと良いでしょう。もし受験など差し迫った必要があれば負荷は大きい方が良いですが、そうでない限りはご自身で楽しいと感じることを選ぶと継続しやすいですし学習に対するストレスは減ります。過去の記事「日常を英語環境に変えて学習を自動化」では教材や単語帳を使わない学習の仕方も紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
忙しい方や苦手意識がある方にどんなカリキュラムが一番効果的かは、それぞれの学習者のレベルや4技能のどこを伸ばす必要があるかによって変わります。どこから始めてよいか分からない方は、最初だけでもプロの講師と話す機会を設けて、効率の良い方法を判断してもらうと学習がスムーズにスタートするはずです。その際はご自身の英語に対する気持ち(苦手意識があるなど)を素直に伝えられると、講師も負荷がかかりすぎないように調整してくれます。
学習の心得
英語を時短で習得しようとしたり、全く負荷なく習得したりすることは難しいということをお伝えしました。時短でレベルアップが期待できるのはすでにある程度基礎力がある方がより効果的な方法を見つけたときであり、全く負荷ない勉強は現状維持に留まります。しかし楽ではなくても楽しんで学ぶことは可能です。最後の章では大変に見えても学習を始めてみるために必要な心得をお伝えします。
英語学習は一生続くもの
基本的に英語学習が終わることはありません。特に語彙に関しては、英語上級者であっても普段触れない話題に触れればすぐに新しい単語に出会います。日本語ネイティブの私たちでも毎年知らぬ間に新しい日本語をインプットしているはずです。このように、母国語でも第二言語でも言語のアップデートは常に必要であり、例え必要と思っていなくてもその言語に接していれば自然と起きることです。そう考えると単語を覚える量が果てしなく感じるかもしれませんが、一人の英語話者が日常的に使いこなすべき英語は限られています。
英語インプットの基本は、
「言えないことを言えるようにする」
「語彙や文法の知識を増やして表現力を上げる」
ことです。
この2つを意識しながら、ご自身の日常やお仕事周りのことを英語でしっかりと表現できるようになるところから始めていくとよいでしょう。そして単語インプットは「終わりのないもの」として良い意味で諦め、毎日学習する姿勢が大切です。
目の前のことに集中する
英語学習を始めようとするときに、先を見過ぎてしまうと気が遠くなってしまうかもしれません。登山をする時に頂上を見ながら登ってしまうと「まだこんな所か」と思ってしまう感覚と似ているかもしれませんが、それでも今できることは一歩一歩前に進むことしかありません。もし毎日10分でも時間を取ってフレーズを1つ覚えたら、1年後には365個の新しいフレーズを覚えていることになります。そしてそれは確実な進歩です。この気持ちが英語学習の継続にはとても大切です。毎日できるようになったことに目を向けていけば、気持ちは少し「楽」に学習ができるでしょう。
終わりに
今回は「楽に英語習得は可能か」という問いの答えとしていくつか学習のアイデアや目標の立て方などをお伝えしました。本当に楽な方法を探して読まれた方には期待外れの答えとなってしまったかもしれません。そのような方は学習法の理想と現実にギャップがあるということを念頭に置き、「時間はかかるかもしれないけどチャレンジしたい」と思えるまでモチベーションを高めたり英語を好きになる工夫をしたりすると、英語学習自体も効率的になり最終的に一番「楽」ができるでしょう。
執筆者: 吉田 翔平 ― バイリンガル英会話コーチ 英会話コーチング歴6年 アメリカ在住2年 日本の外国語大学にて英米語を専攻、卒業後渡米。アメリカ在住時は日常生活やボランティア活動などを通じて現地の人々の信条や文化を学び帰国。18歳まで全く英語が話せなかったが、ネイティブスピーカーに深く受け入れられる存在になれた学習経験を共有したく英会話コーチになる。現在は帰国後出会ったアメリカ人パートナーと日米の文化を毎日すり合わせながら生活中。 |