なぜ英語の発音練習は大切か
2025.11.20
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皆さんは発音の練習をどれぐらいしていますか?学生時代は文法や語彙中心に学んできた私たち日本人は、どうしても発音練習を後回しにしてしまう傾向があります。
発音練習をしないまま英会話を続けてしまうと、英語力が伸び悩み、聞き取りが難しい、相手に聞き取ってもらえない、そしてさらには会話が弾まないなど様々な問題が発生します。「正しく発音することが恥ずかしい」と思ってしまうことも、多くの日本人が無意識に持っている課題です。
詳しい発音の方法については過去記事「発音が劇的に変わる!英会話のコツとは」も一緒にお読みいただければと思いますが、今回はなぜ発音練習が大切かを中心にお伝えいたします。どこかで発音の練習はしなくてもよいと聞いた方や、発音練習が億劫に感じる方、実際に英会話に通っていても伸び悩んでいる方は、ぜひ読んでいただきたい内容です。

1.発音練習は殻を破る第一歩!
英語を話す上で、「殻を破る」ことは大変重要です。「殻を破る=恥を捨てる」と解釈もできますが、どうして私たちは英語を話すときに恥じてしまうのでしょうか?以下で見ていきます。
・日本人の性質
様々な原因がありますが、まずは日本が単一民族で単一言語の国であること、そして日本人が調和を大切にする傾向があることが挙げられます。私自身も経験があるのですが、例えば高校の英語の授業で発音よく英語を使ってしまうと、周りから「海外ぶってる」などと言われることがあります。特に学校生活など集団の中では一人だけ違うことに挑戦するのは勇気がいることです。私は学生時代に洋楽が好きで、家で口ずさんだりしながら発音の練習はしていました。授業でも英語の発言はある程度発音よくできたはずなのですが、変に目立ちたくないのであえてカタカナ風な言い方に直していたのを覚えています。このように多くの方は無意識のうちに、自分が目立ちすぎることのないようにトレーニングしてしまっています。英語という言語は日本語とは発音も抑揚も性質が全然違うので、日本人の集団に好まれるような「日本人らしい」英語を話すことは困難です。しかし突然英語らしい英語で話そうとしても難しく、心理的ハードルも高いので、「殻を破る」というステップが多くの学習者には必要となります。
殻を破る最初のステップとしては、「英語っぽさ」を意識することから始めると効果的です。英語の発音に関しては様々な媒体でたくさんの学習法が提案されていますが、実はどのようにすれば発音が向上するかは人それぞれ異なります。THやRなどの日本人が苦手な発音を克服することが必要な場合もあれば、声の出し方、口の開け方、あごの開き方など人それぞれ弱点が異なります。まずは録音しながら自身の口の動き、声の出し方などを観察し、ネイティブスピーカーが話しているのと何が違うのかの仮説を立てて検証するところから始めるとよいでしょう。英会話に通い始めた方であれば、よく聞くカタカナ外来語の発音は英語っぽく言ってみることを講師と練習してみることも一つの方法です。
私は発音に関してはほぼ独学で真似をしながら学んだので、大半のことをネイティブと同じように言えるまでに大変時間がかかってしまいました。上達を急ぐ方はコーチングなどを受講してプロにどこを直していけばいいのかを診断してもらった上で練習できると効果的です。
・カッコつけていい
ここでは英語の方が日本語よりもカッコいいと言いたいわけではありませんが、わかりやすいようにこのような表現にしています。よくカタカナ英語を矯正していく過程で、「自分はネイティブにでないし、ネイティブに見えないのに発音だけできてしまっていいのだろうか」という迷いが生じている方が見受けられます。実際私自身、最初は少しその気持ちがありました。やはり日本人の多くは「英語が話せることはすごいこと」や「ネイティブじゃない私が話すのは恐れ多い」のような概念をどこかに持っています。しかし先程述べた通り発音は英語学習の初期段階において大変重要です。しっかり練習しておかないと聞き取りや相互理解において、長い間避けてきたことのつけを払うことになります。
最初はアップルを「エァーポー」のように大げさに発音する自分は滑稽に見え、周りの人には絶対聞かれたくないと思うかもしれません。しかしそのような発音こそ英語なのです。なるべく学習の早い段階でこの恥の殻を破ってしっかり音真似をしていくことが、その後の学習をよりスムーズで楽しいものとするためには大切です。
・抑揚やジェスチャーも英語風に
単語の音真似も大切ですが、抑揚(イントネーション)も真似ができると表現力が向上します。”I love it. (好きだよ)”を”I looooove it.” (だーい好き) に変えるだけで表現に意味を乗せることができるのが抑揚の良いところです。同じ文字面でも音を変えるだけでより多くのニュアンスが伝わります。しかしこれも日本人からするとかなり大げさに聞こえるので、上述の殻を破るステップが必要です。なかなか難しく感じる方は、日本人の英語話者がどのように抑揚を操っているかを観察して、短いフレーズから真似するとよいです。日本人で英語が流暢な芸能人などを参考にすると、見た目が近い分自分がどのように英語を話すべきかのイメージがわきやすいのでぜひ参考にしてみてください。
また殻を破るためにジェスチャーなども少し真似てみるとよいでしょう。ジェスチャーも英語のニュアンスを伝える上で重要な役割を果たしています。
「文字+抑揚+ジェスチャー」のセットを常に意識することで、シンプルな単語だけ使ってもたくさんの情報を発信することができます。ぜひ積極的に真似していきましょう。

2.発音が特に大切なシーン
発音練習をしていくにあたり「伝わるか伝わらないか」だけを気にするのであれば、ゴールは必ずしも「ネイティブの発音」である必要はありません。日本語訛りはありますがネイティブと仕事できている日本人も多くいます。しかし以下のようなシーンではネイティブ級の発音を持ち合わせているとアドバンテージになります。
・旅行
「旅行英語=最初のステップ」と思われがちですが、実は旅行時こそ日本語訛りに慣れていない現地のネイティブと話さなくてはいけない難しい場面です。
「自分でも発音できること=聞き取れること」ですので、現地人の英語に対応するためには、予想されるフレーズなどをネイティブと同じ発音、スピードで言えるトレーニングをしておく必要があります。旅行フレーズの本なども、一度ネイティブ講師などに見てもらい、現地の速さで読んでもらいながら練習してもいいかもしれません。また並行して日頃から現地で話される英語のビデオなどを見る習慣をつけ、耳慣れしておくことも大切です。
・ワーホリ
同じ現地人を相手にするということに関しては、旅行よりもワーキングホリデーの方がシビアです。発音練習していないと聞き取りができず職探しに苦労しますし、せっかく面接まで漕ぎつけても発音が悪いと「英語力が心配な人」というレッテルを貼られてしまう可能性が高いです。それをカバーできるコミュニケーション能力がある場合などは例外的に早く仕事をゲットできる可能性もありますが、現地人と相手に働いたりサービスを提供したりすることを考える以上、ネイティブ級の発音をゴールにして出発前にある程度練習していった方が無難でしょう。働くだけでなく語学力アップも一緒に目指している方も、発音をしっかりと練習してから渡航した方が現地の人との会話で聞き取れるフレーズが多く、話しながらすぐ使える新しいフレーズを学ぶことができます。
・キャリア
ビジネスに関しては多国籍なメンバーが参加するミーティングなどもあるので、発音よりも適切な単語やフレーズが使いこなせるコミュニケーション能力が重視されることが多いかもしれません。実際この章の冒頭で述べた日本人訛りがあるけれどネイティブと仕事できている日本人は、高いコミュニケーション能力を持ち合わせていることが多いです。しかし、相手がどの国の出身でどんな英語を話そうとも、相手にとって聞きやすい英語を話せばそれだけで聞いてもらいやすくなることも事実です。特に交渉などの難しい場面ではニュアンスの伝わりやすい発音や抑揚で話すことで、聞き手の負荷をなくし心を開いてもらいやすくなるはずです。
・友人、恋人をつくる
外国人の友人・恋人を作りたいと思っている方も、上述の「心を開いてもらう」ということを考慮すると発音は磨いておいた方がよいです。
ここでいう「友人」とは単に言語を練習し合うような国際交流だけの関係ではありません。お互いの近況を話し合ったり、困ったときに相談したり手を差し伸べ合ったりする関係のことです。それは外国人の恋人を持ってみたいときも同じです。
ネイティブに近い発音ができていると、ネイティブの相手が受ける印象が変わります。
日本語訛りがある英語では相手から「コミュニケーションに難がありそうな相手」と認識されてしまうことがありますが、英語が通じるかどうかの心配が少ないだけで「相談できそうな相手」と認識されるチャンスが増えるのです。第一印象が変わる分、深い関係に発展する機会は多くなります。
第二言語を使って他社の信頼を得て親しい関係になることは容易ではありませんが、発音や会話内容などを改善することで実現可能です。英語学習のゴールの一つとして心に留めておいてもいいのではないでしょうか?

終わりに
今回は発音練習の大切さについてお伝えしました。英語の発音がしっかりできるかどうかが英語力向上の妨げになってしまうことも多くあります。ぜひ今回の記事を参考にしっかりと発音練習の動機付けをして練習してみてください。
イングリッシュビレッジではお好きな教材を持ち込んでネイティブ講師と発音練習することも可能です。本場の発音を習得したい方はぜひ体験レッスンにお越しください。
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執筆者: 吉田 翔平 ― バイリンガル英会話コーチ 英会話コーチング歴6年 アメリカ在住2年 日本の外国語大学にて英米語を専攻、卒業後渡米。アメリカ在住時は日常生活やボランティア活動などを通じて現地の人々の信条や文化を学び帰国。18歳まで全く英語が話せなかったが、ネイティブスピーカーに深く受け入れられる存在になれた学習経験を共有したく英会話コーチになる。現在は帰国後出会ったアメリカ人パートナーと日米の文化を毎日すり合わせながら生活中。 |

